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2022-01-13

私が朗読をはじめたきっかけについて。

いつもこちらのHPへのご訪問ありがとうございます。みずたまレコード、朗読講師の定行恭子です。

今日は、私の朗読との出会いをお話しようと思います。こちらにたどり着いた方は、朗読に興味を持たれてお教室を探してらっしゃる方が多いと思います。今でこそ、声優さんも俳優さんも朗読劇などを気軽にする時代になり、だいぶ朗読も浸透してきました。

私が講師になりたての頃は、「えっ?!朗読講師?」と友人からも言われたものですが、、私の朗読との出会いは高校時代に遡ります。

当時、入学した高校は文武両道の部活も盛んな高校でした。放送部はなくて、放送委員会がNHK放送コンクールにアナウンス部門、朗読部門、ラジオ制作部門に入選している高校でした。そこからアナウンサーになった先輩ももちろんいらっしゃいます。

放送委員会なので、部活とは違い限定的な活動が多いため、アナウンス、朗読部門への参加者は二年生になる頃、先輩らが後輩をスカウトしにいきます。今、NHK杯に挑戦している高校生の方は放送部として活動している高校がすごく多いと思いますが、私の高校ではコンテストが近づくと毎年、中学生の頃、元合唱部だった人などが声をかけられていました。今思うと、なんて安易な方法なんだろう!という感じですが、私は仲良かった部活の先輩が朗読をしていたので、本当に良く分からずに誘われるままコンテストに参加する事になりました。当時は地方ラジオ局の番組パーソナリティとしてラジオ制作にも参加もしていたので、校内放送や昼のラジオ番組を作れる事も楽しくて、朗読だけではなく放送委員会も楽しんでいました。

先輩が朗読部門でNHK全国大会に行ったので、高二の夏は東京に連れてきてもらいました。隅田川の花火大会の頃でした。NHKホールのステージに立つ前に先輩は敗退してしまいましたが、羨望の眼差しでNHKホールでの本選を見学した事を今でもはっきりとおぼえています。

そして高三の6月に、はじめてNHKの地区予選に出場しました。当時は審査員は別室で、マイクの声を放送のように聞き審査していました。同じ高校や別の高校の方がいる中で、緊張しながらマイクに向かう予選でした。私は惜しくも1点差で、全国への切符を逃してしまいました。練習では、一度も間違えなかった言葉、「何者の名において」本番で間違えてしまいました。朗読箇所は作品の中から、個別に選ぶのですが、この「何者の名において」が3回も出てくるのです。どうしても読みたかったシーンで、時間ギリギリだったのですが、一行を削る事ができなくて、、、早口になってしまったのかもしれません。

当時は、自分の力がどこまであったのか良く分からず、上位で表彰され、テレビにも映れたのでとても満足していたのですが。翌日、放送部の先生に呼ばれて、「間違えなかったら確実に全国行けた…な」と言われ、職員室で急に悔しい気持ちにあふれ泣いた記憶がまだ胸に残っています。アナウンス部門は全国に行けた事もあって、更に悔しくなりました。

毎日、毎日読み続け、作品も暗記で言えるようにすべて覚えてしまいました。お風呂の中はマイクのように響くので、毎日、練習しました。朗読は一人で出来るから、その努力は誰も知らないはずだけど、顧問の先生は審査委員長という事もあり「良く練習したのに、残念だったな」と声をかけてくださいました。その頃もNHKのアナウンサーが指導したりしている高校もあったようですが、私の高校は先輩からの簡単なアドバイスと見本朗読のみ。

今思うと、何度も読み込んだ事が結果に結びついたように思います。読み込むほどに場面や主人公の気持ち、背景などが自分の中に大きく膨らんでいって場面や気持ちが見えてきます。作品解釈を深める事で、自然な声と言葉で誰かに伝えようという思いが、深まったように感じます。

マイクに声を集めて、聞き手は見えず遠くにいる当時の状況も、身体に変な力が入らず声が柔らかくなる決め手ではないかなと思います。今は、聞き手が目の前にいる事が多く、必要以上に緊張して力が入ってしまう事が多いように思います。

それから、高校卒業後は朗読からも離れてしまいましたが、ある時、(かなり経ってからですが)偶然みつけた「ゲーテ朗読コンテスト」に応募する機会が訪れます。

それをキッカケに、沢山の朗読コンテストに応募、予選通過を果たしました。ここ数年は、朗読コンテストのレベルも格段にアップしていて、予選通過も大変難しくなっています。一番はじめに挑戦したゲーテ朗読コンテストの予選録音を今聞き返すと…本当に良く予選に通ったな…とても恥ずかしくなってしまうほど。

講師になってからも、朗読の奥深さをまだまだ発見する事も多く、生徒さんからも今も学ばせて頂いています。私は20代の頃に甲状腺の病気で首周りの手術をしています。麻痺も少しあるので、他の人より声は出しにくいのですがね。まっ、この話はまたいつか。

努力は必ず、結果としてついてきます。なんとなく朗読はスポーツに近い気がします。センスのある人もいますが、やはり日々の小さな積み重ねが、耳を鍛えて、声を磨き上げる。しばらく休むとまた、つまらなく、単調で、もとの自分の悪い癖がでてしまう。上達する事を焦らず、日々、努力しつつ楽しく読む事が大切だなと実感します。

先日、久しぶりに生徒さんの前で朗読しました。後で、読み直してみると、、、反省ばかりの朗読で、なんだかとても恥ずかしくなりました。生徒さんは素敵な朗読をされるのに。毎日のちいさな努力の積み重ね!私も忘れないようにしたいです。

また、暑さが戻ってきましたね。皆さま、体調にお気をつけくださいね。


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