『椿の海の記』石牟礼道子さんの本との出会い
【講座終了】たくさんのご参加ありがとうございました。
やっと、夏らしい日がやってきたと思ったら、とっても暑いですね。毎日、不安な発表が多いので、外出したり約束をすることも簡単にできなくなっています。夏休みな帰省もできず、長く静かな夏休みを迎えそうです。
ちょうど、この連休に合わせたかのようなイベント日程ですが、まだ、ご予定の決まっていない方は読書会はいかがでしょうか?今回の講座は事前に準備が必要になりますので、出切ればお早めのご応募をおまちしています。
今回は石牟礼道子さんの『椿の海の記』(河出書房新社)を課題作品としています。別の朗読イベントで東直子さんが参加者で少しずつ一つの作品を想像しながら読むことを気に入ってくださって、こちらの作品をおすすめくださいました。
実際、皆で朗読する箇所を私が選んでいるのですが、どのシーンも情景描写が柔くじんわり染みてくる文章なのです。そして、幼い目線で語られる現実は寂しくもあり、優しくもあり温かい。東さんの作品世界も思い出される仄暗さの中にある現実と希望も感じます。
石牟礼道子さんの作品は水俣病を取り扱った作品「苦海浄土」のイメージが強いようですが、この作品は同じ水俣の自然と共存する人々の豊かさと、不条理を描いた作品です。今のこの時期に石牟礼さんの作品をなぜ?重いのでは?とイメージだけで決めつけるのはもったいない事だなと思います。春から夏にかけて、冬の冷たい雪もが石牟礼さんの言葉でによって繊細な季節へのリスペクトのような面持ちも感じ語られていきます。
おそらく、私は東さんにおすすめされなかったら読むことも、このイベントもなかったかもしれないこの本との出会い。私自身の遠い日の記憶をも思い出しながら読み進めている不思議な体験です。東さんの作品が好きで、昨年は一緒に朗読劇「晴れ女の耳」を開催しました。虐げられた女性の不条理の中にも、どこか明るくたくましく生きる姿を描く東さんだからこそ石牟礼さんの作品に心打たれるのかしら…などとも、感じながらゆっくり読み進めています。
実は、私は本を全部読み切る前に東さんへの信頼だけでこのオンラインイベントの開催を決めました。東さんは石牟礼さん作品のどの部分に心惹かれたのか知りたくなったのです。そして、私が開催するイベントだからと、本も読まずにたくさんの方が参加してくださっています。その信頼感覚がとてもとても嬉しく有り難く思います。
参加者さんでしか共有できない「ここが良いよね」と心の動きを語り会える、感じ合える時間になれば良いなと心から楽しみにしています。参加応募された皆様、お会い出来る事声を合わせられる事を楽しみにしています。
東直子さん『心と声がひびく読書会』
〜石牟礼道子さんの魂のこもった言葉により添う二日間〜
- 日程(前編、後編の二日間講座)
- 前編:2020年8月9日(日)15:00〜17:00(第一章〜第六章まで)
- 後編:2020年8月16日(日)15:00〜17:00(第七章〜第十一章まで)
- ゲスト講師:歌人・作家 東直子さん
- 朗読進行:定行恭子
- 受講料:(1日参加)2,000円
- 受講料:(両日参加)4,000円
- 課題図書:「椿の海の記」石牟礼道子(河出書房新社)
- ※各自、参加日までに課題図書をお手元にご用意ください。
- 会場:ご自宅等、Zoomアプリでビデオ会話できる環境
- ※接続環境:安定したwifi環境の整った中での接続、またPCからの接続を推奨します。